「量子コンピュータ(Quantum Computer)」という単語は近年、ニュースなどでよく耳にするようになってきましたね。最近のニュースだと、2021年7月にIBM・東京大学・川崎市のチームが世界で米国・ドイツに続く3例目(日本初)のゲート型商用量子コンピュータ「IBM Quantum System One」を設置 / 稼働 / 共同研究が開始されたことが発表されました(設置することが発表されたのは2021年3月)。そんな注目を浴びている量子コンピュータとは何かについてなるべく簡単にまとめていきたいと思います。
参考 IBMとの連携で進む日本の量子コンピューティング東京大学
量子コンピュータの概要
量子コンピュータ(Quantum Computer)とは、「量子力学の現象を応用して、古典コンピュータよりも高速に計算を解くことが期待されるコンピュータ」です。
ここでいう量子力学の現象とは具体的に言うと、量子に着目したミクロの世界において知られている「重ね合わせ」のことになります。量子の世界では、物質を観測していない状況下では、波としての振る舞いをすることが知られており、大変不思議な現象です。
現代のメディアを見ると、次世代型の計算が超高速なコンピュータで、あと数年で実現すると認識している方が多いように感じますが、色々な専門家の方々の見解を調べていくと実際に実用化されるのはまだまだ未来の話な上、量子コンピュータが得意とする計算とそうではない計算があることがわかってきました。なので、過度に期待しない方が良さそうです。実際にqc-labのメンバーが量子コンピュータで機械学習モデルを回したところ、とても簡単な問いに対してもモデルの精度はチャンスレベル相当でした。ちなみに、「計算が速い」とは、古典コンピュータよりも少ない回数の計算で解ける場合があるという話で、一回一回の計算(加減剰余の計算)が速いということではありません。
上述したように注目されている量子コンピュータは、組み合わせ最適化の問題を解く時に相性がいいと考えられています。組み合わせ最適化とは、「複数のペア」や「複数の要素によって構成された物」を理想的な組み合わせに最適化する問題です。物流業界における最適な配送ルートや創薬における最適な物質の探索などに応用されることが期待されています。
- 古典コンピュータに「量子の性質(重ね合わせ)」を掛け合わせた技術である。
- 特定の問いに対する計算が速くなることが期待されている。
- 一回一回の計算が早いわけではなく、少ない回数で計算できることがある。
- 実用化はまだいつになるかわからない(2021年現在はトイモデルのレベル)。
- 物流や創薬の領域における最適化問題の計算への活用が期待されている。
量子コンピュータと古典コンピュータの違い
それでは、もう少し踏み込んで、みなさんが普段使用している古典コンピュータ(正確にはノイマン型コンピュータ)との比較をしたいと思います。
比較項目 | 古典コンピュータ | 量子コンピュータ |
---|---|---|
情報単位 | 古典ビット(bit) | 量子ビット(qubit) |
ゲート | 論理ゲート | 量子ゲート |
別名 | ノイマン型コンピュータ | 非ノイマン型コンピュータ |
量子コンピュータの仕組み / 理論
量子コンピュータは、波の性質を利用して、波の位相をずらしたり、干渉させたりして計算します。具体的には、「位相シフト(波のタイミングをずらす)」や「量子干渉(波の足し引きをする)」などの量子論理演算を使用します。これらは古典コンピュータにおけるAND / OR / NOTのような論理演算に相当します。
このように波の計算をできる根本的な仕組みは、古典コンピュータの原理に「量子の性質(重ね合わせ)」を掛け合わせている点にあります。量子という世界では、粒子だけではなく、非観測下において波の性質も併せ持つメリットはここにあります。
最後に
いかがだったでしょうか?
この記事を通して、少しでもあなたの困りごとが解決したら嬉しいです^^
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